CESA:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会

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ゲーム産業の系譜

西 和彦

西 和彦【第3回】

1980年代

MSX誕生30周年~生みの親が語る開発秘話

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西 和彦(Kazuhiko Nishi)

株式会社アスキー創業者/元代表取締役社長。

1956年、兵庫県神戸市生まれ。現在、須磨学園 学園長、尚美学園大学 大学院 芸術情報研究科 教授、埼玉大学 大学院 経済科学研究科 客員教授、早稲田大学 大学院 国際情報通信研究科 客員教授、デジタルドメイン 代表取締役社長、アカシックライブラリー 代表取締役社長。

第3回ゲームは歴史上第四のコンテンツ

2014年1月23日掲載

MSXを始めたとき、アスキーはMSX用のロムカートリッジのソフトを50タイトルぐらい製作しました。そして、MSXを宣伝するメディアが必要になるということで、「MSXマガジン」を創刊しました。

当時の読者には自分でBASICのプログラムを打ち込んでゲームを作るような方が多く、やがて読者同士のコミュニティが生まれました。これは編集部が意図して作ったものではなく、自然発生的にできあがったものです。こちらは次の号を作るので手一杯で、そういったところまで考える余裕はありませんでした。

当時のアスキーは「ファミ通」も出版していましたが、今でも週刊誌として残っています。なぜ週刊誌を作ったかというと、現在はウェブでの情報提供が当たり前になっていますが、当時は月刊誌しかなく、1ヶ月では遅すぎると感じていたのです。当初は迷いましたが、思い切って決断しました。現在、アスキーで創刊した雑誌で残っているのは「ファミ通」と「週刊アスキー」の週刊誌だけです。ですから、その2誌を立ち上げたのは、今から考えればよい判断だったと思っています。

今あらためて考えると、ゲームというのは、大きな意味のあるコンテンツだと思います。

コンテンツの歴史を見ていくと、最初に活版印刷が始まって、世の中に大量に本が出回るようになります。次にレコードが発明され、音楽がいつでも聴けるコンテンツとして広まりました。また、同じ頃に映画が誕生し、巨大なコンテンツに成長しました。これらの本と音楽と映像に続く第四のコンテンツがゲームです。1980年頃にゲームが誕生してから、もう30年以上になります。今や歴史になりつつある分野なのです。

コンピューターの魅力は「インタラクティブネス」、つまりリターンキーを押せばすぐに結果が出てきて、好奇心を満たせることです。これは音楽を聴いたり、映画を見たりするのとは別の種類の楽しさです。

音楽や映画はすでに歴史があるコンテンツで、誰もが見たり聞いたりするものですが、ゲームのポジションを音楽と映画並みになるまで引き上げるにはどうしたらいいかということを最近はよく考えています。そうなるためには、クオリティをさらに向上させなければならないでしょう。それがこの業界にとっては今後の大きなテーマだと思います。